新飼料でサーモン養殖へ 原料は幼虫「ミルワーム」 価格高騰の魚粉の代替品に 県立大生がベンチャー企業設立

 最近では飼料用の昆虫養殖が盛んになっています。

サーモンの陸上養殖に進出する企業が増えており、それに伴い飼料としての魚粉の消費や価格が製造コストを押し上げていることが原因と思われます。

 今回は福井大学の方がベンチャーを作られたようです。
ミルワームの養殖に取り組まれるようです。

試算によると環境が整えば魚粉の8割の価格で製造できるとのことですので、養殖業の方のお力になりそうですね。

以下引用--------------

 サーモンの養殖で飼料に使う魚粉が高騰する中、大学生が注目したのは虫の幼虫です。栄養価が高くナッツのような香りも楽しめるサーモンの新ブランド立ち上げに向け、新たな飼料を開発し、試験養殖を始めます。
 県立大学4年生の村上裕哉さんが今年1月に立ち上げたベンチャー企業「sa‐mo(サーモ)」。淡水養殖場で育てるサーモンの飼料を製造・販売する企業です。
 サーモンの養殖で主に用いられるのは魚粉を原料とする飼料ですが、その価格は15年前と比べ、およそ2.4倍に高騰しています。
 そこで村上さんが注目したのが…。 ■県立大学4年生 村上裕哉さん 「僕たちが使う餌は”ミルワーム”と言われる虫になります。
 これを粉末にして、養殖場で使われている魚粉の代わりに使う。脂の成分がナッツに近い成分を含んでいるので、似たような脂が魚の青臭さを消してくれる」
 ミルワームは、魚粉に匹敵するほど高たんぱくで栄養価が高く、飼料に加工する仕組みが整えば、魚粉のおよそ8割の価格で製造できるということです。
 村上さんは4月から勝山市の養殖場で、この飼料を使ったサーモンの試験飼育を始めることにしていて、2年後を目標に、生ハムなどの加工に適したサーモンの新ブランドの立ち上げを目指します。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9c9e57ab4c2998138b4d744d24ca9515b79efaa1

アメリカミズアブとミルワーム

飼料用昆虫として注目されているのが、アメリカミズアブとミルワーム。
それぞれに特徴があると思いますが、何が違うのでしょうか。

アメリカミズアブはサナギから成虫にかけてエサを食べません。成虫は水分だけを接種して5日程度で死にます。
ミルワームはチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫で、成虫もエサを食べます。
また幼虫と成虫の生育環境が似ており、同じケージで飼うことが可能ですが、共食いをするので幼虫やサナギなどは食べられてしまいます。

 ヨーロッパ、東南アジア、中央アジアなど海外ではアメリカミズアブの養殖が盛んで、比較的文献も手に入れやすく情報が豊富にあると言えます。
 アメリカミズアブは前繭段階で幼虫と生育環境が違うので、共食いリスクが無いと考えられています。

 また、アメリカミズアブは明治時代に日本に入ってきており、仮に自然環境に逃げてしまっても生態系に影響を与えることは少ないと思います。

 ただ、アメリカミズアブは便所ハエと呼ばれており、印象は良くないようにおもいます。

 

えひめ鯛のお味

 ミルワームの粉を魚粉と置き換えて養殖した鯛です。

以前、クラウドファンディングで支援させていただき、到着したのでご報告です。
冷凍で届きましたので、お刺身にするには少し柔らかかったですが、肉厚で甘みも強くとても美味しかったです。
 少なくとも飼料に昆虫を混ぜているからと行って味が落ちることは無いようです。
機会があれば冷凍では無く、生のお魚をいただきたいと思いました。

産学連携で誕生した「えひめ鯛」!昆虫を用いた真鯛のサステナブル養殖への挑戦


https://camp-fire.jp/projects/view/678076

養殖魚用配合飼料の補助金について

養殖魚用の配合飼料の約50%はカタクチイワシから作られる魚粉です。
ここ20年で魚粉価格が4倍近くなっていますが、将来の漁獲量を確保するために制限があり、漁獲量はほぼ上限に達していると言われています。
配合飼料の一部でも養殖された昆虫タンパク質に置き換えることが出来れば、魚粉価格の高騰がおきても、配合飼料の価格上昇は緩やかになると考えられます。

また、近年の光熱費の上昇もあり、配合飼料の価格は上昇しています。

宮城県や静岡県など複数の県では配合飼料の補助金申請を受け付けています。

令和5年度宮城県養殖業飼料価格高騰対策事業費支援金について

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/suikisei/r5shiryoukoutou.html

養殖の魚も「昆虫食」、愛媛大らが昆虫飼育工場を建設へ

以前にも紹介した、愛媛大学とDNPの昆虫養殖の取り組みが再度紹介されています。

クラウドファンディングで募集されている昆虫飼料で養殖された鯛についても記事に記載されています。
少しずつですが、飼料用の昆虫養殖が認知され始めているのかもしれません。

以下引用

愛媛大学は、以前から昆虫を使った養殖魚用餌の開発を行ってきた。昆虫を1割混ぜた餌で8000匹のマダイを飼育する大規模実験では、従来の餌よりも成長速度が速く、病気になりにくく、味も遜色ないことが確認され、今年春にはそのマダイの販売も始まった。 気候変動や乱獲により天然魚の漁獲量が減ったこの20年ほどで魚の養殖の需要が世界で激増したが、そこで問題になっているのが餌だ。じつは養殖魚の餌はおもにカタクチイワシの魚粉が使われている。結局は天然資源に依存していることに変わりがない。さらにその魚粉は輸入に頼っていて、価格は20年前の4倍程度に高騰したという。これがイワシの乱獲を招く心配もある。そこで魚粉を使わないサステナブルな餌の開発が各方面で行われている。そのひとつが昆虫だ。 愛媛大学が使っている昆虫は、ミルワームというチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫。雑食性で繁殖力が強く、アミノ酸や不飽和脂肪酸を多く含み、小さなスペースで簡単に飼育できて環境負荷が低いと、いいことづくめだ。同大学は、ミルワームを自動飼育する装置の開発に乗り出した。協力するのは大日本印刷。「印刷で培った機械設計から大量生産に関する技術や経験」を活かして動物性飼育原料の国産化を目指すとのこと。研究段階から事業化のフェーズに進むことになる。 これから愛媛大学は、ミルワームのための実験室を新設し、そこで育ったミルワームをプロテイン源とする餌で魚がどう育つかを確認する。また、2024年3月にはミルワームの自動飼育装置を開発し、ラボ規模の施設を建設する予定。将来的には年間100トンのミルワーム粉末を生産できるミルワーム飼育工場を建設するとのことだ。

 

養殖の魚も「昆虫食」、愛媛大らが昆虫飼育工場を建設へ

https://forbesjapan.com/articles/detail/65344?read_more=1

丸紅株式会社の昆虫タンパク質の取り組み

 2023年3月に丸紅株式会社がフランスの昆虫養殖ベンチャーとの提携を発表しています。
日本でも、食品製造工程で出てくる野菜クズやなどを利用して、飼料としての昆虫タンパク製造をしていけると良いのですけども。

以下引用です

丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、フランスに本社を置く世界最大の昆虫由来タンパク製造・販売企業の SAS Ÿnsect(以下、「インセクト社」)と、インセクト社の日本市場進出に向けた協業(以下、「本取組」)について基本合意書を締結しました。

世界的な人口増加と経済発展により、2050年の世界の食料需要は2010年比1.7倍、タンパク質需要は2005年比約2倍となることが予測されており、食糧危機とタンパク質危機(プロテインクライシス)が社会課題となっています。なかでも、ブリやマダイ等の水産養殖業に欠かせない飼料原料であるカタクチイワシ等の魚粉は、長年にわたる捕獲や世界的な需要の増加により需給のひっ迫が懸念されています。日本は魚粉使用量世界第2位となっており、持続可能な水産養殖業の実現のため、今後も価格高騰が予想される海外産魚粉の代替原料開発といったソリューションの必要性が高まっています。

インセクト社は、かかる社会課題を解決するため2011年に設立され、フランス、オランダ、米国の 3つの生産拠点を運営しており、2023年中にフランスで新たに世界最大の昆虫由来タンパク生産拠点を開設予定です。EUで食用としての使用も許可されているミルワームを原料とし、既に畜産・水産養殖・ペット用、食用、肥料用に商品を製造・販売しています。

丸紅は、主食となる穀物、畜産・水産物等の良質なタンパク源の確保を通じて、食の安定供給に貢献すべく、水産飼料製造等の多角的な事業・トレーディングを行っており、中期経営戦略GC2024 においてはグリーンのトップランナーになることを目標に、「環境配慮型食料」に注力しています。

丸紅、およびインセクト社は、食用魚介類の消費量が世界的にも多い日本において、持続可能な水産養殖業、ひいてはフードサプライチェーンの構築に貢献すべく本取組を実施していきます。

世界最大の昆虫由来タンパク製造・販売企業インセクト社の日本市場進出に向けた協業について

https://www.marubeni.com/jp/news/2023/release/00028.html

長崎大学発の昆虫由来代替プロテインの開発・製造のベンチャーの紹介です

長崎大学発の昆虫タンパク質の製造をしているベンチャー企業様です。
長崎大学生協で売れ残ったお弁当を餌として与えて、ミルワームを養殖しています。
大学と共同研究をされており、生育過程はAI(人工知能)を取り入れた自動化の開発もされています。

株式会社Booon

https://booon.co.jp/