昆虫餌で育てた魚の味は??

 国立研究法人 水産研究・教育機構が「昆虫餌で育てた魚の味は??」というイベントを開催されました。

 令和7年2月1日-2日にかけて葛西臨海水族館で行われたようです。

イベントの内容はトークイベントと「アメリカミズアブで育てたマダイの唐揚げの試食会」だったようです。

美味しい唐揚げだったようですね。

繁殖環境の教育ビデオ(有料)

 海外では昆虫の養殖はビジネスの一環として比較的認知されているようです。
特に発展途上国では、廃棄される食糧などを利用してアメリカミズアブの養殖は盛んなようです。

 そこで始めて行う人向けの情報教材もいくつかあります。

 無料の動画としてはYouotubeがお勧めででBSFやBlack Solder Flyなど検索すると多くの動画が見られます。ですが、玉石混合で情報を整理されているとはなかなか言いがたいのが現状です。

 特に採卵の環境となると手軽に行うには環境を整えるのが難しいように思えます。

今回ご紹介するのは幼虫の肥育からサナギの収穫、成虫の生育環境から採卵までセットになっているものになります。
 有料教材にはなりますが、一度にまとまった情報が入手出来るので、挑戦したい方には良いかと思います。

How To Build Your Own Black Soldier Fly Farming Bin From Scratch Step-by-Step DIY Video Tutorial

https://ofera.teachable.com/p/how-to-build-black-soldier-fly-farming-bin-from-scratch-diy-video-tutorial

生ごみが食料に大変身 地球環境を救う不思議な生き物

 2年ほど前の記事になりますが、産経新聞様がアメリカミズアブについて取り上げておられました。

 日本では大阪府立環境農林水産総合研究所さまが最前線で取り組まれているようです。

経験では産卵させるのが意外と難しく、安定した技術開発が望まれます。

まだまだ、勉強や研究をしないといけませんね。

https://www.sankei.com/article/20220922-WK3SM4LOVZOOXBPEAQQ7DPHMBA

アメリカミズアブの採卵について

マンションのベランダで育てているアメリカミズアブですが、なかなか産卵しません。
ケージ内の成虫の密度が低いのか、温度や湿度が悪いのか、それとも他に要因があるのかわからないので、産卵条件について調べています。

こちらの文献では比較的小さなケージでも、一定数の成虫の密度があれば産卵をする様です。
ただ、同時に成虫を100匹用意するのもなかなか難しいところです。

ラオスの養魚餌料として有望なアメリカミズアブの周年採卵技術

アメリカミズアブの受精卵を得るためには、従来は2 m四方程度の大型網室に1,000頭あまりの羽化後間もない成虫を入れる必要があるとされてきたが、小型の網室(27 × 27 × 27 cm)に成虫100頭弱を入れることで受精卵を得ることができる

https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2015_c02

アメリカミズアブの養殖で大切なこと4つ

ブログの更新が少し空きました。
 都内で養殖していたミズアブは、残念ながら寒さに負けて産卵することもなく終了しました。
 暖かくなったら再開したいと思います。

 そこで、再度養殖について勉強をしています。
タイトルにありますが、養殖で大切なこと4つをまとめておきます。

照度:朝と夜が活動的。その時間に産卵することが多い。日光の下に置くことが望ましい。 人口の高原を使うとき:4000ルクス。7000ケルビン

温度:27-32℃。低温だと産卵しない。36℃以上だと幼虫が死ぬことがある。
 冬はストーブ、夏は扇風機で調整

湿度:70%。加湿器が必要。湿度が低いと産卵しない。

誘引:産卵場所に誘引するには、痛んだ果物がおすすめ。牛や鳥の糞もおすすめ

4 Important Things To Consider While Rearing Black Soldier Fly II Part 1 II

アメリカミズアブとミルワーム

飼料用昆虫として注目されているのが、アメリカミズアブとミルワーム。
それぞれに特徴があると思いますが、何が違うのでしょうか。

アメリカミズアブはサナギから成虫にかけてエサを食べません。成虫は水分だけを接種して5日程度で死にます。
ミルワームはチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫で、成虫もエサを食べます。
また幼虫と成虫の生育環境が似ており、同じケージで飼うことが可能ですが、共食いをするので幼虫やサナギなどは食べられてしまいます。

 ヨーロッパ、東南アジア、中央アジアなど海外ではアメリカミズアブの養殖が盛んで、比較的文献も手に入れやすく情報が豊富にあると言えます。
 アメリカミズアブは前繭段階で幼虫と生育環境が違うので、共食いリスクが無いと考えられています。

 また、アメリカミズアブは明治時代に日本に入ってきており、仮に自然環境に逃げてしまっても生態系に影響を与えることは少ないと思います。

 ただ、アメリカミズアブは便所ハエと呼ばれており、印象は良くないようにおもいます。

 

ミズアブ生産ガイドライン

 大阪府立環境農林水産総合研究所が2023年2月28日に「ミズアブの食品および飼料原料としての利用における安全確保のための生産ガイドライン(ミズアブ生産ガイドライン)」を発表しています。

 その中に「人に対する食品と、家畜や養魚に対する飼料の両方に適した製品を提供すること」と文言があります。
 人間の食料と家畜の飼料のいずれにも適した商品を製造するのが理想的ではありますが、幼虫のエサの選定や生産環境などなかなか難しい面もあります。
 もちろん費用をかければそれも可能だとは思いますが、人食に適さない有機物(水草、残飯、傷んだおからやジュースの絞りかすなど)をエサとして飼育した幼虫を人が食べるのに適しているかは判断が難しいと思います。
 まずは飼料としての基準を満たした幼虫の生産技術の確立を目指すのが安定した供給にはよいと考えます。
 また、魚粉の代わりとして活用するのであれば、農業用肥料としての用途も広がります。
 ヨーロッパでは昆虫食用の幼虫と飼料用の生産ラインが建物から分けられており、生産管理も大きく異なっている企業もあるようです。
 中国の養鶏場では年間100t出る鶏糞を公害対策としてミズアブの幼虫のエサとして与え、生産されたミズアブは養鶏の飼料として活用されている事例もあります。
 それぞれの用途に適した工程で生産し、管理をするのが良いと考えています。

 

令和5年(2023年)2月28日 昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム

https://www.knsk-osaka.jp/ibpf/guideline/bsf_guideline.html

ウナギの完全養殖!!

 近畿大学がニホンウナギの完全養殖に成功したそうです。
現在では大規模な養殖は難しく、稚魚を捕獲して養殖した場合と比べて費用面では10倍近くかかるようです。
 ですが、今後の研究次第では、低価格に提供されるかもしれません。

そこで養殖用の飼料のお話になります。
ウナギの養殖飼料は50%程度が祖タンパクとなっています。
愛媛大学の研究によると、昆虫タンパクには魚類の免疫を高める性質もあるようなので、成長の難しいウナギの養殖にも役に立つかもしれません。

近畿大学が絶滅危惧種の二ホンウナギの“完全養殖”に成功 大学としては世界初

https://news.yahoo.co.jp/articles/316fe595b12f7ad907b929ec1c377749bd994da4?page=1

アメリカミズアブの世界、日本の分布について

アメリカミズアブは世界に広く分布しています。
 北は日本の北端、南はオーストラリア南端と特に熱帯地方から亜熱帯地方にかけて広範囲に分布が見られる。
 原産は北米から中米と言われており、日本には1950年頃に侵入してきたとかんがえられます。
 本州から沖縄にかけて広く自然繁殖し、便所バチと俗称もあります。
 高温多湿を好む傾向があり、インドネシアなど熱帯地方では繁殖が盛んで商品化されている地域もあります。
 

アメリカミズアブの産卵場所

アメリカミズアブは小さく、乾いた、守られた隙間に産卵すると記載があります。
 人工的に提供される産卵場所としては木片を重ねた隙間やダンボールの隙間が一般的に用いられているようです。
 特に大規模な養殖場では、与えるエサを管理するため正確な採卵が必要で、木片を重ねた隙間を産卵場所としているようです。
小規模な養殖場ではダンボールの隙間を利用していることが多いようです。

 隙間があればどこにでも産卵をしますが、想定場所以外に産卵をされては採卵が出来ず養殖が難しくなります。
 そこで大切になることは想定している産卵場所に成虫を誘引することになります。
 成虫を誘引する方法としては「水場」があげられますが、生まれた幼虫のエサとなる有機物周囲に産卵場所を用意した方が確実に誘引できるようです。