ハエ幼虫に生ゴミ食べさせ、フンを農作物肥料に…「価値付けられればゴミではなくなる」

 季節も春めいてきて、今年もミズアブの養殖に挑戦しようと思っています。
最近では様々なメディアで報じられることが目に付くようになりましたが、生ゴミなどを活用してミズアブやミルワームの養殖をする大学や研究施設が増えています。

 今回は読売新聞オンラインに掲載されていた記事をご紹介いたします。

山形大学の佐藤准教授は、アメリカミズアブの幼虫に給食センターなどの生ゴミを食べさせ、そのフンを農作物の肥料にする研究に取り組んでいます。幼虫は生ゴミを2週間程度で食べ尽くし、高タンパクなため家畜の餌にもなります。フンは窒素、リン、カリウムを豊富に含み、化学肥料と同等の効果が確認されています。

この取り組みは、生ゴミの削減、焼却による二酸化炭素排出量の削減、そして資源の循環に貢献しています。荘内病院や庄内農業高校と連携し、病院の生ゴミを幼虫が食べ、そのフンで高校生が栽培したジャガイモが病院の食材として利用されるなどの事例も生まれています。

今年3月からは、フンから作られた肥料「はえっぺ」の試験販売も開始されました。佐藤准教授は、価値を付けることで生ゴミが資源となり、地域経済の発展にも繋がることを期待しています。

ハエ幼虫に生ゴミ食べさせ、フンを農作物肥料に…「価値付けられればゴミではなくなる」

https://www.yomiuri.co.jp/science/20250414-OYT1T50194

新飼料でサーモン養殖へ 原料は幼虫「ミルワーム」 価格高騰の魚粉の代替品に 県立大生がベンチャー企業設立

 最近では飼料用の昆虫養殖が盛んになっています。

サーモンの陸上養殖に進出する企業が増えており、それに伴い飼料としての魚粉の消費や価格が製造コストを押し上げていることが原因と思われます。

 今回は福井大学の方がベンチャーを作られたようです。
ミルワームの養殖に取り組まれるようです。

試算によると環境が整えば魚粉の8割の価格で製造できるとのことですので、養殖業の方のお力になりそうですね。

以下引用--------------

 サーモンの養殖で飼料に使う魚粉が高騰する中、大学生が注目したのは虫の幼虫です。栄養価が高くナッツのような香りも楽しめるサーモンの新ブランド立ち上げに向け、新たな飼料を開発し、試験養殖を始めます。
 県立大学4年生の村上裕哉さんが今年1月に立ち上げたベンチャー企業「sa‐mo(サーモ)」。淡水養殖場で育てるサーモンの飼料を製造・販売する企業です。
 サーモンの養殖で主に用いられるのは魚粉を原料とする飼料ですが、その価格は15年前と比べ、およそ2.4倍に高騰しています。
 そこで村上さんが注目したのが…。 ■県立大学4年生 村上裕哉さん 「僕たちが使う餌は”ミルワーム”と言われる虫になります。
 これを粉末にして、養殖場で使われている魚粉の代わりに使う。脂の成分がナッツに近い成分を含んでいるので、似たような脂が魚の青臭さを消してくれる」
 ミルワームは、魚粉に匹敵するほど高たんぱくで栄養価が高く、飼料に加工する仕組みが整えば、魚粉のおよそ8割の価格で製造できるということです。
 村上さんは4月から勝山市の養殖場で、この飼料を使ったサーモンの試験飼育を始めることにしていて、2年後を目標に、生ハムなどの加工に適したサーモンの新ブランドの立ち上げを目指します。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9c9e57ab4c2998138b4d744d24ca9515b79efaa1

昆虫餌で育てた魚の味は??

 国立研究法人 水産研究・教育機構が「昆虫餌で育てた魚の味は??」というイベントを開催されました。

 令和7年2月1日-2日にかけて葛西臨海水族館で行われたようです。

イベントの内容はトークイベントと「アメリカミズアブで育てたマダイの唐揚げの試食会」だったようです。

美味しい唐揚げだったようですね。

太平洋「サバ類」漁獲枠7~8割減を検討 資源量悪化で 水産庁

 天然のサバ類が資源量悪化で漁獲制限がかかるようです。

参照記事
 https://news.yahoo.co.jp/articles/efa9538b1b90a840dae3af7d8b0c1f456f9884c6


 公開されている日本周辺のサバ類の漁獲量のデータでは、例えば、マサバ(太平洋系群)の漁獲量は、1978年に約120.7万トンのピークを迎えた後、1990~1991年には約3万トンまで減少し、その後増減を繰り返し、2022年には約9.5万トンとなっています。

 技術の開発により、サバは完全養殖技術の確立により、陸上養殖も可能になりつつあります。

 それに伴い飼料中の魚粉の増加も想定されます。
 魚粉価格も高止まりしており、虫粉のニーズが高まると想定されます。

1. サバの陸上養殖の特徴

✅ メリット

  1. 環境負荷が少ない
    • 陸上養殖では、海の汚染や赤潮の影響を受けずに安定した生産が可能。
    • 養殖場周囲の生態系への影響が少ない。
  2. 安定供給が可能
    • 天候や自然環境の影響を受けにくいため、漁獲量の変動が少ない。
    • 年間を通じて計画的に出荷できる。
  3. 病気リスクの管理がしやすい
    • 海洋養殖に比べて寄生虫や病気のリスクを低減できる。
    • ワクチンや水質管理で健康な個体を育成可能。
  4. 高品質なサバが育つ
    • えさの管理がしやすいため、脂の乗りや味の調整が可能。
    • 金属臭や臭みが少なく、刺身で食べられるほど鮮度が良い。
  5. 脱炭素・持続可能性
    • 天然資源への依存を減らし、持続可能な漁業の一環として期待される。

2. 日本における陸上養殖の事例

① 「完全養殖サバ」の開発(近畿大学)

  • 近畿大学は、完全養殖のマサバ「近大マサバ」を開発。
  • 従来は天然の稚魚を育てていたが、卵から育成する技術が確立された。
  • 現在、飲食店やスーパーでも流通しており、生食できるほど鮮度が高い。

② 陸上養殖ブランド「湧昇サバ」(愛媛県)

  • 愛媛県で、地下海水を利用した養殖が進められている。
  • クリーンな環境で育てられ、寄生虫リスクが少ないため、生食が可能。

③ 「富士山サーモン&サバ」(静岡県)

  • 富士山の湧水を利用した陸上養殖。
  • 養殖サバ特有の臭みが少なく、脂の乗りが良い。

エサ代高騰などで収益ひっ迫 魚類養殖「清水海産」が破産開始決定 負債総額は約5.5億円 愛媛県愛南町

このようなニュースがありました。

水産業で餌代は全体の事業費の6-7割と言われています。
エサの半分はカタクチイワシなどから作られる魚粉です。
近年カタクチイワシの漁獲上限に達しておりこれ以上、天然資源に頼るのは難しい状況です
また、陸上養殖などの技術の発展で飼料の需要が急増し、それに伴いカタクチイワシや飼料の需要が増大しています。

魚粉の半分でも虫粉に置き換えられれば、餌代の上昇も抑えられると思いますが、まだまだ技術的なハードルが高いようです。

以下引用

https://news.yahoo.co.jp/articles/3e1a2c1b702a20443a28dafceae21568e17a3b33

東京商工リサーチによりますと、愛媛県愛南町魚類養殖清水海産」が20日、松山地裁から破産開始決定を受けたということです。 同社は1972年の創業でハマチやチダイなどの養殖を行い、地元漁協や水産会社に販路を形成していましたが、2004年ごろにハマチが大量死したことからチダイのみに変更、2013年9月期には3億5000万円の売り上げを計上していました。 近年は2億円台で推移していましたが、2022年9月期は相場の落ち込みもあり1億5800万円にまで縮小、翌2023年9月期には逆に相場上昇で3億2000万円に伸ばしていました。 しかし、従来から収益は低調に推移していたとみられ、さらにエサ代・燃料価格の高騰で資金繰りがひっ迫し今回の事態となったということです。 負債総額は約5億4800万円だということです。

繁殖環境の教育ビデオ(有料)

 海外では昆虫の養殖はビジネスの一環として比較的認知されているようです。
特に発展途上国では、廃棄される食糧などを利用してアメリカミズアブの養殖は盛んなようです。

 そこで始めて行う人向けの情報教材もいくつかあります。

 無料の動画としてはYouotubeがお勧めででBSFやBlack Solder Flyなど検索すると多くの動画が見られます。ですが、玉石混合で情報を整理されているとはなかなか言いがたいのが現状です。

 特に採卵の環境となると手軽に行うには環境を整えるのが難しいように思えます。

今回ご紹介するのは幼虫の肥育からサナギの収穫、成虫の生育環境から採卵までセットになっているものになります。
 有料教材にはなりますが、一度にまとまった情報が入手出来るので、挑戦したい方には良いかと思います。

How To Build Your Own Black Soldier Fly Farming Bin From Scratch Step-by-Step DIY Video Tutorial

https://ofera.teachable.com/p/how-to-build-black-soldier-fly-farming-bin-from-scratch-diy-video-tutorial

採卵の難しさ

 今年もアメリカミズアブの採卵が上手くいかず、小バエが産卵していきました。

 アメリカミズアブの成虫の生存期間は5日程度で、その間に交尾と産卵をする必要があります。(ちなみに小バエの成虫の生存期間は7日程度)
 となると、成虫の密度が必要になってくるように思えます。
ラオスでの研究では30cm立方の虫かごに100匹程度の成虫を入れれば採卵出来るとありましたが、5日程度で死んでしまう成虫を100匹確保し続けるのは大変です。

 サナギの羽化のタイミングを考えると1000匹のサナギでは不足するように思えます。
それこそ5000匹のサナギを用意できれば、100匹の成虫を常に確保出来るかもしれません。

 今年は秋になりましたので、繁殖などの実験は終了して、また来年に向けて勉強と準備をしたいと思います。

食糧問題と昆虫食

2018年の記事になりますが、食糧問題と昆虫食が取り上げられていました。

最近はになりますが、コオロギを使った昆虫食が話題になりましたが、長野の養殖工場は2024年1月に倒産しました。
日本では昆虫食はあまり馴染まないのかもしれません。

最近では技術の進歩で閉鎖循環型の魚の養殖が可能になりました。

昆虫飼料を食べた魚なら、受け入れらる可能性もあります。

長野の食用コオロギ養殖「クリケットファーム」に破産決定

長野県茅野市に本拠を置く食用コオロギ養殖の「株式会社クリケットファーム」は、1月17日付で札幌地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産したことが明らかになりました。

IT関連企業「株式会社インディテール」(北海道札幌市)の子会社として2021年に設立の同社は、食用コオロギの養殖・加工を主力に事業を展開し、養殖から加工まで長野県内の自社工場で一貫して手掛けていました。また、食用コオロギは高タンパクな次世代フードとして知られ、世界的な食糧危機が叫ばれるなか、メディアにも多く取り上げられるなど話題となっていました。

しかし、コオロギ食に対する消費者の拒否反応は根強く、売上が低迷するなど業績が悪化すると、親会社の経営不振も重なり資金繰りが逼迫したため、2023年に事業を停止し事後処理を進めていました。

なお、親会社の「インディテール」などグループ2社にも同様の措置が取られ、3社合計の負債総額は約2億4000万円の見通しです。

2050年の食料問題

ウナギの人工知慮の生産

 天然の稚魚を捕獲し、養鰻しているウナギですが、人工稚魚の生産が可能になるようです。

 親ウナギから毎週200万粒の採卵が出来る用ですが、その程度の割合で成魚になるか興味深いです。
 養鰻ではエサの一部に魚粉がつかわれているので、虫粉で一部代用出来る用になると良いですね。

ウナギ好きに朗報! 人工稚魚の大量生産が可能に 年間4万~5万匹